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AOLの共同創業者スティーブ・ケース氏は、今後10年間でスタートアップが一夜にして成功するというのはそれほど容易ではないと警告している。

AOLの共同創業者スティーブ・ケース氏は、今後10年間でスタートアップが一夜にして成功するというのはそれほど容易ではないと警告している。

ケビン・リソタ

CES 2016でのスティーブ・ケース
CES 2016でのスティーブ・ケース

スタートアップが一夜にして成功する時代は終わりに近づいているかもしれない。少なくとも、先週のCESでスティーブ・ケース氏が起業家精神とリスクテイクについて講演した際にそう指摘した。AOLの共同創業者でありベンチャーキャピタリストでもある彼は、今後10年間のスタートアップは、次の大きな成長の波に乗るために、パートナーシップや規制された業界への依存を強めざるを得なくなると考えている。

「過去10年間、一夜にして成功を収める企業が多く見られましたが、今後10年間は​​様々な理由から、そういった企業は少なくなるでしょう」とケース氏は述べた。「今後はより多くのパートナーシップが必要になるでしょう。医療、教育、交通、エネルギー、食品、金融サービスといった分野に真の革新を起こそうとするなら、単独では不可能です。協力して、パートナーシップを構築していく必要があるのですが、これは難しいことです。」

ケース氏によると、大規模なスタートアップの機会はますます政府の関与を必要とするようになるだろうが、起業家にとっては聞きたくない話かもしれない。「多くの分野が規制されているため、政府とのより一層の関与が必要になるだろう。ちなみに、医療や教育といった分野の多くでは、政府が実は最大の顧客なのだ。次の起業家精神の波には、少し異なる考え方が必要になるだろう」

CES 2016 のスチュワート・バターフィールド、スティーブ・ケース、ニック・ウッドマン
CES 2016 のスチュワート・バターフィールド、スティーブ・ケース、ニック・ウッドマン

「本当に医療を変えたいですか?医師や病院と連携する必要があります。本当に教育を変えたいですか?学校や教師、大学と協力する必要があります。アプリで何ができるか、クラウドで何ができるか、それだけでは不十分です。より多くの時間がかかり、より多くの忍耐力、そして先ほど述べたように、パートナーシップに関する異なる考え方が必要になります」とケース氏は強調した。

ケース氏は聴衆に対し、AOLが一夜にして成功したわけではなく、長年にわたる粘り強い努力の賜物であることを改めて強調した。「AOLを立ち上げた30年前、私たちが何をしているのか誰も知りませんでした。誰も私たちのことを気に留めていませんでした。両親でさえ、10年ほど前に私が何をしているのか知りませんでした。私が何を言っているのか全く理解できず、人々はAOLを支援したがりませんでした。『パソコンを持っている人のほとんどは、モデムなんて持っていない。周辺機器だ。使っている人は変人だ。まるで趣味人かハッカーだ。そんなものは主流のビジネスにはなり得ない』と彼らは言っていました。そのため、資金調達は本当に大変でした。」

CES 2016でのスティーブ・ケース
CES 2016でのスティーブ・ケース

「7年間事業を続け、上場時の時価総額は7000万ドルでした。1000万ドルを調達し、企業価値は7000万ドルでした」とケース氏は語る。「ロードショーではインターネットについて説明していましたが、ほとんどの人は『何を言っているのか分かっていない。流行り物みたいだ』という顔をしていました。しかし10年後、企業価値は1500億ドルに達し、この10年間で最も急速に成長した価値創造企業となりました。」

「誰も気に留めていなかった会社から、世界で最も価値のある企業の一つ、そしてこの10年間で最も好調な株へと成長しました。こうしたことに真剣に取り組み、長期的な視点を持ち、失敗する可能性も認識できれば、必ず報われるのです」とケース氏は述べた。「あなたは本当に影響力を持ち、世界を変えるチャンスを手にするのです。非常に重要な企業を創り出すチャンスが本当にあるのです。」