
スタートアップが失敗する最大の理由:時期尚早なスケーリング
ジョン・クック著
スタートアップが破綻する理由は様々です。不適切な人材採用、過剰な支出、資金不足などです。実際、スタートアップ・ゲノム・レポートの最新調査によると、スタートアップの90%が主に「競争ではなく自己破壊」が原因で失敗していることがわかりました。
そして、その最大の理由は何でしょうか?3,200社以上の急成長テクノロジー系スタートアップ企業を対象とした調査では、「時期尚早なスケーリング」と呼ばれる問題が指摘されています。
これは、企業が準備が整う前に事業を拡大してしまうという考え方です。言い換えれば、本末転倒です。この考え方は様々な形で現れます。例えば、従業員を急激に採用しすぎたり、製品が完成する前に顧客獲得に多額の費用をかけすぎたり、コア指標を分析せずにマーケティング費用を増額したりといったことが挙げられます。
レポートによると、インターネットスタートアップの約74%は、時期尚早なスケールアップが原因で失敗に終わっています。一方、適切なスケールアップを実現した企業は通常、20倍の速さで成長しています。適切なスケールアップを実現した企業は、より多くの資金と顧客を獲得し、最終的にはより多くの従業員を雇用します。実際、時期尚早にスケールアップしたスタートアップで、ユーザー数が10万人を超えた企業は一つもありませんでした。
著者らは次のように書いている。
スタートアップは、顧客、製品、チーム、ビジネスモデル、財務という5つの中核となる要素のバランスを保つことで、成長速度を最大化できます。急成長を遂げる起業家の秘訣は、これら5つの要素をそれぞれタイミングよく、互いに調和させながら動かすという混沌を克服することです。スタートアップの失敗の多くは、これらの要素の1つ、あるいは複数が他の要素と調和していないことが原因です。私たちのデータセットでは、スタートアップの70%が何らかの要素において時期尚早にスケールアップしていることがわかりました。この数字は高いように思えるかもしれませんが、スタートアップの失敗率が90%にも上る理由を大いに説明できるかもしれません。
下のグラフが示すように、着実に事業を成長させているスタートアップ企業は、より高い評価を得て、より多くの顧客を獲得しています。(レポート全文はこちら)。