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アーリーアダプターたちを味方につけたDockerは、世界の他の地域に目を向ける

アーリーアダプターたちを味方につけたDockerは、世界の他の地域に目を向ける

トム・クレイジット

DockerのCEO、ベン・ゴルブ氏、Dockercon 2017にて(Docker on Twitterより)

成功を収めたエンタープライズテクノロジー企業の進化には、世界が自分を中心に回り始める瞬間が訪れます。Dockerは今週も、今後10年間のソフトウェアの開発と運用方法に大きな影響を与えるであろうことを示しました。

Dockerがオープンソースのエンタープライズコンピューティングの担い手になってからわずか4年しか経っていないとは信じがたいことです。2013年にプロジェクトを初めてリリースして以来、Dockerは大きな進歩を遂げ、今週テキサス州オースティンで開発者イベントDockerConを開催し、5,000人が満員の聴衆を集めました。コンテナはここ数年、エンタープライズテクノロジー業界の寵児となっていますが、ほとんどの企業はDockerをミッションクリティカルなアプリケーションに導入するのではなく、試行錯誤しているに過ぎません。

しかし、状況は変わり始めています。Docker社は今週、CIOを同社の技術へと導くいくつかの機能を発表しました。火曜日には、Windowsやその他のプラットフォーム上でLinuxコンテナを実行するためのサポートを強化し、Microsoftによるステージ上でのサポートも併せてリリースしました。水曜日には、Oracle社がDocker社と共にステージに上がり、複数のOracle製品がDockerコンテナ内で実行可能になったことを発表しました。

そして、Dockerの潜在顧客は、誰も触りたがらない、厄介なレガシーアプリの移行がより容易になります。水曜日に発表された「Modernize Traditional Applications(従来のアプリケーションのモダナイズ)」プログラムは、「ソースコードを変更したり、アプリケーションを再構築したりすることなく、既存のレガシーアプリケーションをモダナイズする」と謳っています。これは、6月に開催される第1回GeekWire Cloud Tech Summitで紹介されるDockerのCOO、スコット・ジョンストン氏のブログ記事で述べられています。

2017 年に新しい開発プロジェクトをゼロから始める場合、従来のソフトウェア開発方法に比べてコンテナーによって生産性とセキュリティが大幅に向上することを確信する必要はありません。

それ以外の人々、つまりほぼすべての人にとって、たとえ明確なメリットがあったとしても、運用全体を再構築するという見通しは気が遠くなるようなものになりかねません。コンテナを本番環境で運用している企業の数はここ数年で確かに増加していますが、まだ比較的小規模です。これはDockerにとって課題であると同時に大きなチャンスでもあります。

業界大手がDockerの活用に躍起になっているのには理由があります。Dockerはコンテナベースの開発を発明したわけではありませんが、パブリッククラウドコンピューティングのキャパシティが爆発的に増加し、IT部門がソフトウェア開発のスピードと柔軟性を高めた時代に、Dockerの活用と実装をはるかに容易にしました。Web 2.0時代のスタートアップ企業がAmazon Web Servicesのパブリッククラウドを創業初日から自社の技術戦略の重要な一部に据えたように、先進的なソフトウェア開発組織もDockerのコンテナを積極的に活用しています。

ある時点で、主流の企業、そしてそれらにサービスを提供する従来のベンダーは、Docker の魅力を無視できなくなるでしょう。