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研究で薬剤費高騰の影響が明らかに:米国ではがん化学療法が2倍の費用がかかる

研究で薬剤費高騰の影響が明らかに:米国ではがん化学療法が2倍の費用がかかる

クレア・マクグレイン

(ビッグストックフォト)

シアトルのフレッド・ハッチンソンがん研究センターによる新たな研究で、ワシントン州西部とカナダの隣接するブリティッシュ・コロンビア州におけるがん治療の価格に大きな差があることが判明した。

両地域の間には圧倒的な類似点があり、生存率にも差がないにもかかわらず、米国における大腸がんの全身治療の費用はカナダの2倍、それぞれ月額12,345ドルと6,195ドルとなっている。

この研究では、全額補助の単一支払者医療制度を持つカナダの1,622人以上の患者と、政府支援の医療保険に加入している患者と民間の医療保険に加入している患者を含む米国の575人の患者のデータを分析した。

米国の医療費が北隣の米国と比較して高いことは広く知られているものの、国境を挟んだ両側の人口統計学的に類似した2つのグループにおいて、同じ疾患の治療費を直接比較した研究は、おそらくこれが初めてだろう。この研究は、フレッド・ハッチ氏の経済学グループであるハッチンソンがんアウトカム研究所(HICOR)によって実施され、その結果はシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会年次総会で発表された。

フレッド・ハッチンソンがん研究センターのヴィーナ・シャンカランHICOR。2016年3月25日撮影。

この研究を率いたヴィーナ・シャンカラン氏は、電子メールのインタビューで、この初期の研究は他の治療法ではなく抗がん剤に焦点を当てている、とGeekWireに語った。

「私たちは全身性がん治療薬(化学療法と分子標的治療)にのみ焦点を当てているため、この研究における費用の差は両国間の薬価の格差を反映していると考えています」とシャンカラン氏は述べた。「次のステップでは、手術、放射線科、病院/救急外来、腫瘍マーカーなど、他のサービスの費用と利用状況について調査する予定です。」

彼女はまた、医療費に関する国民的な議論が、この調査を特に心に響くものにしたと述べた。アメリカは他の先進国よりもはるかに多くの医療費を費やしており、多くのアメリカ人が無保険のままであったり、高額の自己負担額の医療保険に加入しているため、重病に罹患した場合に多額の医療費負担を強いられることになる。

ヘルスケア産業は国のGDPのほぼ5分の1にまで膨れ上がっており、業界内外の人々は、この成長が本当に懸念されると言う。

「米国における医療費の高騰についての議論が増える中、異なる医療モデルを持つ他の先進国で受けられる医療の質と費用を検討するのにも良いタイミングだ」とシャンカラン氏は語った。

ドナルド・トランプ大統領は先月、薬価引き下げに向けた野心的な計画を発表し、高騰する薬価をめぐって議論を巻き起こしている。これまでのところ、反応はまちまちで、計画の詳細の多くは未だ明らかになっていない。