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AOL共同創業者スティーブ・ケース氏:ベンチャーキャピタリストの多くは怠惰で、シリコンバレーのことばかり考えすぎている

AOL共同創業者スティーブ・ケース氏:ベンチャーキャピタリストの多くは怠惰で、シリコンバレーのことばかり考えすぎている

ジョン・クック

レボリューション・フーズの創業者兼CEO、クリスティン・グルース・リッチモンド氏と、レボリューションの会長兼CEOであり、ケース財団の会長でもあるスティーブ・ケース氏。(ジョン・クック/GeekWire Photo)
レボリューション・フーズの創業者兼CEO、クリスティン・グルース・リッチモンド氏と、レボリューションの会長兼CEOであり、ケース財団の会長でもあるスティーブ・ケース氏。(ジョン・クック/GeekWire Photo)

カリフォルニア州パームデザート発 ― シリコンバレーは、全米の注目を集め、ベンチャーキャピタルの資金の大部分を握っているかもしれない。しかし、AOLの共同創業者であるスティーブ・ケース氏は、シリコンバレーのバブルから抜け出し、起業家精神について、そしてそれが国内の様々な地域において何を意味するのかをもっと議論する必要があると考えている。

「正直に言うと、私たちはシリコンバレーのことばかり考えすぎています。私はシリコンバレーを誇りに思っています。シリコンバレーでは素晴らしいことが起こっています。これからも素晴らしいことがシリコンバレーで起こり続けるでしょう」と、金曜日の午後にEY戦略成長フォーラムで講演したケース氏は述べた。「しかし、デトロイト、デモイン、マディソン、アトランタ、ニューオーリンズ、バッファロー、シカゴ、そして全米各地でも素晴らしいことが起こっています。私たちはそうしたストーリーをもっと伝え、より多くの資金を集める必要があります。今のところ、ほとんどのベンチャーキャピタリストは怠惰です。彼らは車に乗って起業家のもとへ行きたがります。」

ケース-4img_1049-2ケース氏に関して言えば、全米各地で素晴らしい起業ストーリーが生まれているものの、シリコンバレーの影に隠れがちだ。WhatsAppのような企業は220億ドルで売却されるかもしれないが、メッセージングサービスの従業員数はわずか55人程​​度だ。

ケース氏は、これは素晴らしい成果だとしながらも、数年前に220億ドルで売却された企業は5万人以上の雇用を生み出していたはずだと述べた。シリコンバレーのサンドヒルロードから遠く離れた他の都市にも、起業家精神と雇用創出の素晴らしい物語が数多くある。

言い換えれば、彼の考えでは、起業には単に大成功を収めること以上の意味があるのだ。

ケース氏はまた、その場にいた起業家らに対し、企業設立に注力するだけでなく、地域社会への投資も行うよう訴えた。

「より強力なスタートアップコミュニティーをどうやって作るのか?」とケース氏は問いかけ、成功した起業家たちがコミュニティー内の他の人たちを励ましていくことが不可欠だと付け加えた。

ベンチャーキャピタル会社Revolutionの会長であり、国家イノベーション・起業家精神諮問委員会のメンバーでもあるケース氏のコメントは、同氏が「残りの地域の台頭」というスローガンを掲げて推進してきた地域的な起業家精神の強化というテーマを反映している。

実際、ケース氏は「他の企業の台頭」をテーマとしたバスツアーを実施し、かつては工業の中心地だったピッツバーグなどを訪れている。ピッツバーグは今や自動運転車研究の中心地へと変貌を遂げている。Uberをはじめとする多くの企業がピッツバーグに多額の投資を行っているが、ケース氏によると、こうした話はシリコンバレーの喧騒の中では耳に届かないという。

「シリコンバレーには、素朴さこそが競争上の優位性だと傲慢に考える人がいます。この分野について何も知らないなら、新しい視点で見ることができる、という考え方です。確かに一理あります」とケース氏は述べた。「しかし、医療を変えたいなら、医師や病院の考え方をある程度理解しておくのは理にかなっていると思います。教育を変えたいなら、教師や大学の考え方をある程度理解しておくのは理にかなっています。農業を変えたいなら、農家が物事をどう考え、どのような課題に直面しているかをある程度理解しておくのは理にかなっています。沿岸部だけでなく、全国でそうしていく必要があります。」