
家庭用「データ炉」が登場、サーバーの余熱で空間を暖める
ジェームズ・リズリー著

オランダにお住まいで光ファイバー接続をご利用なら、クラウドを使って自宅の暖房が利用できるようになります。暖房をダウンロードするわけではありません。オランダの企業Nerdalizeが、クラウドコンピューティングを分散化しながら部屋を暖めるサーバーを自宅に設置します。
「データ炉」というアイデアは2011年にMicrosoft Researchの論文で提案されましたが、Nerdalizeはそれを実際に活用した最初の企業です。同社のeRadiatorsは、クラウドコンピューティングサービスから発生する余熱をラジエーターのような筐体に送り込み、家庭やオフィスを暖めます。
サーバーは年間を通して稼働しますが、暖かい季節には熱を屋外に放出できます。同社はサーバーの稼働に使用した電気代を住宅所有者に払い戻しますので、無料で家を暖めることができます。さらに、インターネットがダウンした場合に備えて、サーバーを保温するためのダミー計算も行います。
Nerdalizeでは、データセンターの運用維持にコストはかかりません。同社は、ジョブあたりのコストは従来の方法よりも55%低いと主張しています。ホストの自宅でのインターネット使用量が多い場合、ユーザーは従来のクラウドコンピューティングよりも遅延を感じる可能性がありますが、一部のアプリケーションではそのコスト削減が価値があるかもしれません。
ヒーターはソフトウェアとハードウェアの両方のレベルでセキュリティ対策が施されています。改ざん防止機能付きの筐体により、ソフトウェア暗号化されたドライブへの不正アクセスを防ぎ、住宅所有者はデバイスにどのようなデータが保存されているか把握できません。Nerdalizeは、ほとんどの場合、データの消去、問題の診断、メンテナンスをリモートで行うことができますが、3年間の寿命が過ぎたプロセッサの交換など、より深刻な問題が発生した場合には、訪問が必要となる場合があります。