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スプリント会長、Tモバイルとの合併を公に訴えると報道

スプリント会長、Tモバイルとの合併を公に訴えると報道

ブレア・ハンリー・フランク

スプリント会長の孫正義氏。
スプリント会長 孫正義

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、スプリントの孫正義会長はスプリントとTモバイルの合併案を公表する予定だ。

日本の無線通信大手でスプリントの親会社ソフトバンクのCEOも務める孫氏は、3月11日に米国商工会議所で、米国の無線通信業界の現状、国際競争、ブロードバンド速度向上の利点について講演する予定だ。

彼は、ベライゾンとAT&Tが市場シェアの大部分を占める現在の無線通信業界の状況が、無線通信データ速度の低下と価格上昇につながっていると主張すると予想されている。彼の見解では、現状の無線通信市場では競争原理が機能しておらず、スプリントと他社との合併によって、スプリントは無線通信市場において大手企業と競争できるようになるだろう。

ジョン・レジェール
ジョン・レジェール

孫氏がこの主張を盾に、ベルビューに本社を置くTモバイルとカンザス州オーバーランドパークに本社を置くスプリントの合併に懐疑的な米国規制当局の承認を取り付けようとしているのは明らかだ。合併が実現すれば、米国の無線通信市場における主要プレーヤーは4社から3社に減ることになるが、合併後の企業は加入者数と周波数帯の基盤を獲得し、AT&Tやベライゾンとの競争力を高めることになるだろう。また、堅固な無線通信業界の力学を揺るがしているTモバイルのジョン・レジャーCEOの型破りなスタイルも一掃される可能性がある。

孫氏は、コムキャストとタイム・ワーナー・ケーブルによる大胆な合併提案に勇気づけられている。両社は先月、合併して全米最大のブロードバンドプロバイダーとなることを目指していると発表した。コムキャストとの合併は、無線通信市場における合併に似ているように見えるかもしれないが、連邦規制当局は全く異なる見方をする可能性がある。

タイム・ワーナーとコムキャストは特定の市場において直接的な競合相手となることは稀であるため、合併がケーブルテレビやブロードバンド市場における競争を阻害することはないと主張するのは容易です。一方、昨年ベルビューに拠点を置くクリアワイヤを買収したスプリントとTモバイルの合併は、加入可能な通信事業者の数という点で消費者の選択肢を狭めることになります。