
ジェフ・ベゾス氏、アマゾンの広告界の巨人としての可能性と「2~3年先を見据えた取り組み」について語る
ナット・レヴィ著

アマゾンは小売業の巨人、クラウドリーダー、食料品大手であることに加え、広告業界でも急速にトップに上り詰めている。それに伴い、このテクノロジー大手は新たな綱渡りを強いられることになる。
フォーブスのランドール・レーン氏との多岐にわたるインタビューの中で、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏は、アマゾンの広告事業と顧客データの取り扱いについて語った。アマゾンのCFO、ブライアン・オルサフスキー氏は投資家との電話会議で、広告事業の成功を称賛し、「今や数十億ドル規模の事業となっている」と述べた。レーン氏は、このテック大手の今年の広告収入が80億ドルに達する見込みだと指摘した。
Amazonは、FacebookとGoogleによるオンライン広告の二大独占に挑戦できるユニークな立場にある。レーン氏が書いているように、「Googleはユーザーが何を買いたいか知っているかもしれないし、Facebookはユーザーが何を買いたがっているかを推測できるかもしれない。しかしAmazonはユーザーが実際に何を購入したか、さらには購入意思を示したかどうかまで知っている」からだ。
Facebookとケンブリッジ・アナリティカによるデータ漏洩事件を受けて、顧客は自身のデータをより慎重に扱うようになっている。顧客重視の姿勢で知られるAmazonも、広告事業を展開する中で、顧客データの取り扱いには慎重な姿勢を取らざるを得なくなるだろう。
「それは非常に価値のあるものなので、それを損なうようなことは絶対にしません」とベゾス氏は顧客の信頼維持について語った。「それが事業拡大の鍵なのです。」
レーン氏によると、ベゾス氏はフェイスブックから何か教訓を得たかとの問いに対し、簡潔に「ノー」と答えた。また、アマゾンをデータ企業だとは考えたこともないと述べた。
アマゾンの日常業務のほぼすべてを委任しているというベゾス氏は、アマゾンとは何か、そしてアマゾンをどうしたいのかを深く考えている。同社のユニークな事業の組み合わせは、他業界への迅速な参入を容易にしており、ベゾス氏が次にどの世界を破壊するかについて、豊富なアイデアを沸き立たせていることはほぼ間違いないだろう。
ベゾス氏は「2、3年先を見据えて仕事をしている」と述べており、彼の経営陣のほとんども同じ考え方を持っている。
「四半期決算発表後、友人たちは『よくやった、素晴らしい四半期だった』と祝福してくれる。私は『ありがとう。でも、あの四半期は3年前に終わってしまった』と言うんだ」とベゾス氏はレーン氏に語った。「今まさに、2021年に実現する四半期に向けて取り組んでいるところなんだ」
ベゾス氏は、同社のアイデアがどのように生まれ、どのように承認されるのかを垣間見せた。「双方向のドア」と呼ばれる、小さく段階的な改善は、複数の幹部の承認を得ることができ、必ずしもベゾス氏の承認を得る必要はない。レーン氏によると、アマゾンの大規模な動きとなると、プロセスは少し異なるという。
しかし、会社の方向性を変えるような、より大きなアイデアや垂直分野、いわゆる「一方通行の扉」に関しては、ベゾス氏は「最高減速責任者」を務めることを誇りにしている。彼が求めるのは3つのことだ。まず、独創性。「差別化されたアイデアが必要です。『私もそう』という提案であってはなりません」と彼は言う。次に、規模。「私たちは長年かけて築き上げてきた非常に大きな事業に恵まれており、たとえ成功しても規模が小さいものにエネルギーを注ぐ余裕はありません」。そして最後に、シリコンバレーに匹敵するROI。「たとえ大きな規模であっても、高い資本収益率を生み出さなければなりません」。